経営学者ピーター・ドラッカーの生誕100年を祝う「ドラッカーウイーク」の期間中、各界から著名経営者や学者がクレアモントに集まります。来賓リストには、『ビジョナリーカンパニー』の著者で経営学者のジム・コリンズ氏のほか、イトーヨーカ堂創業者でセブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊氏も含まれています。
コリンズ氏はクレアモントにあるドラッカー宅を訪ね、ドラッカー自身から薫陶を受けたことがあります。ドラッカーを師と仰ぐ同氏は、新作『偉大な企業がどう凋落するのか(ハウ・ザ・マイティ・フォール)』を発表し、ますます意気軒高。ドラッカー亡き後、アメリカを代表する経営学者です。
たまたまですが、わたしは数カ月前にコロラド州ボルダーへ行き、コリンズ氏にインタビューしたばかりです。「日経ビジネス」の別冊付録「日経ビジネスマネジメント」用にインタビュー記事を書くためです。インタビューの中で、同氏は次のように語っています。
「ドラッカーがいなかったら私たちは今よりずっと暗い世の中にいることでしょう。ドラッカーは、社会をより生産的にしようとしてペンを執ったのではありません。社会をより人間的にしようとして著作を書き続けてきたのです」
コリンズ氏には10年ほど前にもインタビューしたことがありますが、話がとても上手です。週末にはドラッカースクールで講演する予定です。聞きに行きたいと思っていますが、子供たちを誰かに預けることができればという条件付きです。
一方、日本ではあまり知られていないですが、伊藤名誉会長はドラッカースクール最大の支援者です。今では同スクールの正式名称も「ピーター・F・ドラッカー&マサトシ・イトウ経営大学院」です。日本人ビジネスマンがアメリカのビジネススクールに多額の寄付を行うのは珍しいのはもちろん、日本人ビジネスマンの名前がアメリカの有力ビジネスクールに冠されたのは初めてです。
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今週は、経営学者ピーター・ドラッカーの生誕100周年を祝う「ドラッカーウイーク」です。ドラッカーにとって「第2の故郷」であるクレアモントも盛り上がっています。
わが家も大忙し。というのは、妻がドラッカーウイークの期間中、海外からの出席者のために案内役としてフル回転するからです。きのうからきょうにかけては、ロサンゼルスのダウンタウンで働くため、家を不在にしています。
となると、月齢17カ月の次女Mをどうするか、という問題が浮上します。Mはまだ卒乳しておらず、夜はママなしではなかなか寝られないのです。
結局、わたしが夜8時ごろにMを車に乗せ、ダウンタウンのホテルまで連れて行くことになりました。ホテルで1泊し、翌日の早朝にダウンタウンを出てクレアモントへ戻るというわけです。クレアモントに戻ったら、朝食をさっと済ませてすぐに保育園へ連れていく--こんな強行軍です。
夜8時少し前、嫌がるMを車のベビーシートに半ば無理やり座らせました。クレアモントからダウンタウンまで1時間のドライブ。「Mは泣き続けるかもしれない」と不安に思い、Mが大好きな果物ピューレを胸ポケットに放り込んでおきました。いよいよ出発です。
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前回に続いてアメリカに来た当初の話を書きます。
アメリカに来たのは昨年の8月初頭。最初の1カ月は学校は夏休みで、毎日遊び放題の環境でした。ところが、長女Kにはジェニファー以外に友達はおらず、長男Aには1人も友達はいませんでした。昼間はプールで泳いだり、ビーチへ行ったりして過ごしましたが、やはりテレビの助けも必要でした。
当たり前ですが、テレビはすべて英語。チンプンカンプンだからテレビを付けても、KもAも「英語だから嫌だ! 日本語がいい!」。ところが、幸いにも、日本で馴染み深いテレビ番組がアメリカでも放映されているのを発見しました。
日本ではKもAもいわゆる「スーパー戦隊シリーズ」が好きでした。マジレンジャー、ボウケンジャー、ゲキレンジャー、ゴーオンジャーをいつも見ていたし、仮面ライダーも見ていました。なんと、アメリカでもゴーオンジャー(アメリカではパワーレンジャー)と仮面ライダーが見られたのです。役者はアメリカ人で言葉は英語ですが、それでも十分でした。英語が分からなくてもKとAは喜んで見ていました。
写真は、昨年のハロウィーンに向けてパワーレンジャーのコスチュームを手に入れ、大喜びしているAです。
アニメではポケモンが人気なのは知っていましたが、仮面ライダーまでアメリカに進出しているとは知りませんでした。日本のソフトパワーに改めて驚かされました。日本で大勢の友達と別れ、日本のテレビも見られなくなって寂しい思いをしていたKとA。そんなとき、懐かしいパワーレンジャーと仮面ライダーをテレビで見れて、ホッとしたようです。
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小学校2年生になった長女K。けさも元気で登校しました。校舎前で車から降ろすと、「バイバイ!」と言って走り去ります。別れを惜しむそぶりはこれっぽっちも見せません。
1年余り前の入学当初がすでに遠い昔のように感じます。初めての小学校で英語が一言も理解できず、涙の毎日だったとは信じられません。当時はわたしはブログを書いていなかったので、今回は入学当初の様子を振り返ろうと思います。写真は入学当初、長男Aの保育園横の芝生でスプリンクラーが動き出し、びしょ濡れになって遊ぶKとAです。
入学初日のことは今も鮮明に覚えています。初日ということで、学校は半日。しかも遊びだけでした。不安いっぱいのKを元気づけようとして、わたしは次のように言いました。
「心配しなくていいからね。ほかのお友達もみんな小学校は初めてだから。でも、英語が分からないよね。話しかけられたら『アイ・ドーント・アンダスタンド(I don't understand)』と言うんだよ。『アイ・ドーント・ノウ(I don't know)』でもいいや」
Kは「うん」と言うだけ。そこで、わたしは「ためしに言ってごらん」と促しました。すると、Kは「アイ・ドーント・アンダスタンド」ときれいに発音できました。
「上手じゃない! 最初はそれだけ話せれば十分。トイレに行きたいときは日本語と同じ。『トイレ!』と言えば通じるから、そう言うんだよ」
その日、お迎えに行くと、Kは満面に笑みを浮かべて「Kちゃん、きょうは大丈夫だったよ!」と報告してくれました。わたしと妻は「Kはしっかり者だから、心配無用だったね。さすがKだ」との意見で一致。
でも、とんでもない勘違いでした。ABCも知らないままで教室に放り込まれたKはその日、実際には涙をこらえてぎりぎりの状況で午前中を過ごしたようです。親に対してはやせ我慢で「大丈夫」と報告したのです。実際の授業が始まった2日目には我慢の限界を超えてしまいました。
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