ケニーとサラの結婚式に家族で出席しました。こんにカジュアルで楽しめる結婚式は初めてでした。いつもはだしで生活し、底抜けに明るいビーチ育ち の2人の人柄がよく出ていました。
会場は、南カリフォルニアのビーチタウン、カーピンテリア郊外のケニーの友人宅。豪華な邸宅ではないですが、敷地は広大。数十台もの車が余裕で駐車できるほどでした。その友人宅の庭で式が行われました。カリフォルニアならではの青空結婚式です。当日は快晴に恵まれ、遠くには海が見えました。写真は、式が始まる直前です。
会場に足を踏み入れると、サングラスにタキシード姿のケニーがいました。ケニーが革靴を履いている姿を見るのは初めてでした。それよりも驚きだったのは、ケニーにあいさつしている人たちの姿。アロハシャツ、ジーンズ、ポロシャツ、バミューダパンツ――。礼服の人はごく一部の親族に限られていました。カジュアルなジャケット、ネクタイ、チノパン姿のわたしでも、どちらかと言えばきちっとしている部類に入りました。
アメリカには全体としてドレスダウンの文化があります。特にカリフォルニアでその傾向が強いように思います。有名なゲッティ美術館で印象派の絵画を鑑賞する際も、TシャツとショートパンツでOKなのです(わたしの両親は「なんて楽なんだろう」と言っていました)。それを考慮しても、ケニーとサラの結婚式のカジュアル度合いは目立っているのではないかと思います。
驚きはまだ続きました。何と、着席する人たちの手にコロナビールや白ワインが……。会場の入り口で受け取ったアルコール類です。「アルコールを飲むにしても式が始まるまでの間かな」と思っていたら、そのまま式が始まりました。見事なドレス姿のサラが父親と共に入場すると、出席者はアルコールを片手に持ったまま起立しました。
結婚式では当たり前ですが牧師のスピーチが中心です。でも、お説教は最低限。ケニーとサラが7年前にどうやって知り合い、立派な家族を築いたのかを説明するのが中心でした。初デートの話などをユーモアたっぷりに解説してくれて、会場からは常時笑いが聞こえていました。わたしも1歳の次女をあやしながら、退屈せずに聞けました。
最後は指輪の交換と結婚の誓い。この部分は正式な流儀に従っていましたが、ケニーの頭にはずっとサングラスが乗っかったまま。ですが、誰も気にしていない様子。結婚の誓いが終わると、熱烈なキス。これで式は終りです。全部で20―30分でした。
披露宴は同じ友人宅の庭で行われました。友人宅を利用しているから、料理から音楽まですべてが手作り。業者が用意したメニューに従うだけの結婚式・披露宴とは違います。ちなみに、ケニーは前日まで庭の芝刈りなどを手伝い、大忙しでした。
披露宴には100人以上が出席し、大半はケニーとサラの親族でした。80歳を超えた祖父や祖母の姿も見受けられました。2人がやってくると、みんなが大きな声で出迎え、拍手。2人は会場の中心に設けられたステージ(正確には庭に置いたウッドパネル)の上で再び熱烈にキスし合いました。
ここからはビュッフェスタイルのディナータイムです。ディナータイムが終わると(ビュッフェですから正式な終了時刻はないですが)、ダンスミュージックがかかり、各自が勝手に踊り始めました。わたしの子供たちもステージに上がり、サラと手をつないで踊り始めました(次女はわたしか妻に抱っこされたままで)。
この段階で重要な発見をしました。ケニーとサラのあいさつがないばかりか、来賓祝辞も一切なかったのです。来賓祝辞を延々と続けると、それだけで時間の大半が費やされ、出席者が食事や会話を楽しめなくjなる――こう考えているのかもしれません。「出席者に楽しんでもらう」を最優先すれば、当然の結果として祝辞はなくなるのでしょう。
これまでいくつもの結婚式に出席しましたが、これほど気軽に楽しめる結婚式は初めてでした。個人的には肩ひじ張らずに出席できるカジュアルな結婚式が好きです。7歳、5歳、1歳の子供を連れたままでも、何も神経を使わずに済んだのです。
おかげで、長女Kはケニーとサラの長女キアナと一緒に広い庭を走りまわりながら存分に遊べました。ドレス姿の2人が一緒に遊んでいる光景は微笑ましかったです。写真は、ステージで踊るキアナとKです。
ただ、夜9時前に会場を引き揚げると、車の中でKは「キアナのお家に泊まりたかった」と言いながら泣いてしまいました。キアナがホテルに3連泊したから、最後はKがキアナの家に泊まるという約束をしていたようです。いよいよキアナとお別れとなり、寂しくなったでしょう。