出張中の3日夜、自宅から1度だけ電話がありました。4歳の長男Aからでした。
「パパ、何しているの?」
「仕事だよ」
「どこにいるの?」
「シカゴ」
「シカゴって何?」
会話を続けているうちに、Aが何かお土産を期待していることが判明しました。狙いは仮面ライダーのようです(アメリカでもアメリカ人の俳優を使ったテレビ番組『仮面ライダー』が放映されています)。せっかく電話してくれたのだからと思い、軽い気持ちで「何かおもちゃでも買っていくよ」と伝えました。ところが、電話を切った後、おもちゃのことはすっかり忘れてしまいました。
再び思い出したのは、翌日の4日午後。すでにシカゴを飛び立ち、サンタアナ空港でタクシー乗り場へ向かっている途中でした。辺りを見回したけれども、どこにもお土産売り場はありません。仕方がなく「家に戻ってから近所で買おう」と思いました。
家に戻ると、妻は待っていたとばかりにおもちゃのことを話題にしました。Aは保育園に行っていて、自宅にはいません。
「Aがずっとおもちゃのことを話していたよ。寝る時は『パパはいつおもちゃを持ってきてくれるの? 寝て起きたらすぐにほしい』と言ってたし、けさ目覚めたら『パパはどこ? おもちゃ取りに行きたい』と言ってた。頭の中はおもちゃだけになっちゃったみたい。何か買ってきた?」
近所で何か買いに行きたいところだったのですが、この日も9カ月の次女Mが自宅にいました。先週に続いて再び熱を出し、前の日に保育園から呼び出しがかかったのです。妻は「Mの相手をしていて、きのうから何もできなくなっちゃった。やらなければならないことが山積み。これから大学行く」と言い、Mをわたしに差し出して「はい、午後はよろしくね」。
それからはしばらくMの相手をして、続いてクレアモント・クラブへ。そこでMを少し預かってもらおうと考えたのです。せっかくだからクレアモント・クラブでちょっと汗を流し、その後は出張関係の資料を整理していると、もうお迎えの時間に。
Mを連れて、まずは保育園でAをピックアップ。わたしの顔を見るやいなや、Aは駆け寄ってきて「パパ、おもちゃ! 買ってきてくれた?」と興奮状態。ですが、おもちゃは手元にありません。Mに気を取られて、おもちゃを買い忘れていたのです。
後の祭り、どう言い訳したらいいものか……。正直、うろたえてしまいました。